FPコンパス永森です。
医療保険をご契約されている方は、先進医療特約を付加している方が大半かと思います。
特約を付加する効果については賛否両論があり、特約の保険料は安いものの支払保険料に対しての実施件数を考慮すると、保険会社のドル箱特約だと言っているFPもいます。私個人の考え方としては、病気への治療方法が進化していく中で、治療費を気にせず治療方法の選択肢を増やせる意味で必須の特約と考えています。
保険のご相談をいただいて契約内容を拝見すると、たまにがん保険に先進医療特約を付加されている方がいらっしゃいますが、一般的にガン保険に付加できる先進医療特約は、ガンの治療に関わる先進医療を保障するので、ガン保険ではなく医療保険に付加されることをお勧めします。
さて、先進医療保障と聞くと、300万円前後かかるがんの陽子線治療や重粒子線治療をご想像される方が多いのではないでしょうか。山形大学付属病院でも来年秋より重粒子線治療が開始される予定で、関心が非常に高くなっています。ただ、これらの粒子線治療は契約時のご説明や、様々な媒体で見聞きする機会が多いため、先進医療=粒子線治療という印象で、支払件数はがんの先進医療に関するものが多いように思われていませんか?
平成29年度厚生労働省の第61回先進医療会議の実施報告では
- 1位、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術/14,433件
- 2位、前眼部三次元画像解析/11,595件
- 3位、陽子線治療/2,319件
- 4位、重粒子線治療/1,558件
- 5位、Eウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法)/255件
- 6位、歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法/240件
- 7位、MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法/207件
- 8位、腹腔鏡下広汎子宮全摘術/185件 ※平成30年4月より先進医療から外れ保険適用となりました。
- 9位、高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術/180件
- 10位、切除支援のための気管支鏡下肺マーキング法 (微小肺病変)/154件
- ※平成29年11月より先進医療から外れました。
実は、実施件数が圧倒的に多いのは、「白内障の治療の多焦点眼内レンズを用いた水晶体の再建術」です。実施医療機関も多く、毎月公表されている厚生労働省の公式サイトでも、先進医療の対象になる多焦点眼内レンズによる再建術を実施している医療機関は700以上が掲載されています。
保険適用の単焦点レンズの水晶体再建術に比べ、多焦点眼内レンズでの再建術は遠近で焦点が合うように再建でき、中には老眼も改善されるケースもあるようです。当然費用は多焦点眼内レンズのほうが高く、片眼で30万~40万円くらいかかるようです。費用は高めですが医療保険の先進医療特約を契約している方は保険金で白内障の手術が受けられるので、各保険会社の支払件数も相当数に上ってきているようです。
そんな保険金の支払いが増え続ける状況から、一部保険会社では先進医療の保障対象から、多焦点眼内レンズの再建術を外したり、契約開始から2年以内の保障は不担保にする動きが出てきたようです。医療保険をご契約されている場合は、契約当初の保障内容が適用されますので、先進医療の対象になる治療は保障されますが、これから医療保険に加入する方は先進医療保障の中身もチェックする必要がありますね。
また、先進医療とは「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」となっているので、「多焦点眼内レンズによる再建術」も実施件数と評価から、近い将来に先進医療の対象から保険適用の治療に変わる可能性も十分にあります。粒子線治療も部位によって保険適用になってきていますしね。
厚生労働省 先進医療を実施している医療機関の一覧 (←リンクをご確認ください)
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