冬のドライブ、備えは万全でしょうか?
「スタッドレスタイヤも履いたし、万が一の時は自動車保険のロードサービスがあるから安心」
そう思われている方が多いのですが、実はここに、保険という金融商品特有の「大きな盲点」が潜んでいます。
結論から言います。
雪道でタイヤがハマって動けなくなる「スタック」は、ロードサービスの対象外になることが多いです。
FP(ファイナンシャルプランナー)として、なぜそんな理不尽なことが起きるのか、その「契約のロジック」を分かりやすく解説します。決して保険会社が意地悪をしているわけではなく、そこには明確な理由があるのです。
理由はシンプル。「車が故障していないから」
スタックして動けない時、ドライバーとしては緊急事態ですが、保険会社がその車を診断するとどうなるでしょうか?
- エンジンは? → かかります。
- ブレーキは? → 効きます。
- エアコンは? → 暖房が出ます。
つまり、「お車自体はどこも故障していませんね」という判定になります。
自動車保険のロードサービスは、基本的に「故障や事故によるトラブル」を助けるためのものです。「車という機械は健康そのもの。ただ、雪が深くて進めないだけ」という状況は、故障ではないため「サービスの対象外」と判断されるパラドックス(逆説)が生じるのです。
「もらい事故」で保険会社が動けないのと同じ理屈
このロジックは、信号待ちで後ろから追突されたような「過失ゼロ(10:0)」の事故で、あなたの保険会社が示談交渉できないのとよく似ています。
- もらい事故の場合:
あなたに過失がない = 保険会社が賠償金を払う必要がない = 保険会社が出る幕がない(介入できない) - スタックの場合:
車が壊れていない = 修理代などの保険金が発生しない = 保険サービスの出番がない
どちらも「保険会社が『金銭的な責任』を負う案件ではないので、サービスも提供できない」という、契約上のドライな理屈が働いています。
対象外ならどうなる?「作業費の実費請求」の恐怖
では、対象外のスタックをロードサービス(または専門業者)に依頼するとどうなるか。
それは「作業費の全額実費請求」です。
保険という「お財布」が使えない以上、クレーン車やスタッフを動かす費用は、すべてご自身のポケットから出すことになります。
状況にもよりますが、数万円~場合によってはそれ以上の出費になることも。これが、雪道で一番怖い「想定外のリスク」です。
FP推奨!リスクを回避する「知識」と「道具」
保険が使えない以上、頼れるのは「自分の知識」と「事前の準備」だけです。
高額な出費を防ぐための、具体的な対策をご紹介します。
1. YouTubeで予習!検索すべき「脱出の裏技」
プロの技術を無料で見られるYouTubeは、最強の教科書です。雪道を走る前に、以下のワードで検索して動画を見ておきましょう。
- 「スタック もみ出し」
車を前後にゆらゆら動かして脱出する基本技。アクセルの踏み加減が重要なので、動画で感覚を掴んでください。 - 「スタック フロアマット」
足元のマットをタイヤの下に敷く定番技。ただし、マットが後方に吹っ飛ぶ危険性もあるので、正しいやり方の確認が必要です。 - 「JAF 雪道」
ロードサービスのプロ、JAFの公式チャンネル。「ここまでは自力でいける、これ以上は無理」という判断基準が学べます。
2. 数万円を浮かす!車載「三種の神器」リスト
業者を呼べば数万円かかりますが、以下の道具を揃える数千円は、非常にコストパフォーマンスの良い「投資」と言えます。
- スコップ(鉄製推奨)
プラスチックは凍った雪で割れます。小さくても頑丈な金属製を。タイヤ周りを掘るだけで脱出率は劇的に上がります。 - スタックラダー(スノーヘルパー)
タイヤの下に敷く脱出用プレート。Amazon等で数千円で買えます。フロアマットより確実にグリップします。 - 牽引ロープ
通りがかりの四駆車が助けてくれようとしても、ロープがなければ繋がりません。「助けられ待ち」のための必須アイテム。 - 作業用手袋(防寒・防水)
素手での雪かきは数分で限界が来ます。必ず防水タイプを。
まとめ:自分の保険を今すぐチェック!
「動けない=故障」ではありません。
保険会社にとっては「動けない=ただの停車」と見なされる可能性があること。この盲点を知っておくだけでも、冬のリスク管理は変わります。
もしもの時のために、以下の2点を必ず確認してください。
- ご自身の保険証券・約款を確認する
「ロードサービス」の項目に、小さな文字で「スタック・脱輪は対象外」「雪道での救出は有料」と書かれていませんか? - JAFへの加入を検討する
保険は「車」にかけるものですが、JAFは「人」にかかるサービスです。JAF会員であれば、こうした「故障ではないスタック」も原則無料で対応してくれます。
「知らなかった」では済まされない雪道のトラブル。ぜひこの機会に、備えを見直してみてください。

FPコンパスファイナンシャルプランナー
1981年2月生(うお座)/神奈川県出身/東京造形大学デザイン科卒
1男1女の父/趣味:ランニング(月200km)登山、料理、筋トレ、社会人サッカー所属
印刷会社でデザイナーとして11年勤務。その後ソニー生命で5年、生命保険を取扱う。
2018年妻の病(がん)をきっかけに山形へ。経済的・精神的不安定な時に、頼れるのは国の社会保障と自分の蓄え、そして人のつながりだと痛感。この経験を活かし、困ったときに頼れる、困らない「しくみ」と「保障」を提供し続けます。


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